加藤一二三のホンタイ



加藤一二三九段(かとうヒフミクダン)をカトウセンニヒャクサンジュウクダンと言ったのは、さんまだった。

加藤さんの対局すがたは、行儀よいとは言えなかった。将棋盤に覆い被さったり、大きく前後に揺れたり、すごかった。

けれど、煙草をぷかったりしながら対局する棋士がざらにいた当時とすれば、きよらかな所業であった。

加藤さんといえばライバルは中原さんとかであろうか。中原さんは対局行儀よかったが、プライベートでやらかしたりしていたので、やはり加藤さんはきよらかであったのだ。







静寂のホンタイ



大きな木が数本あって、石段九段の上に慰霊塔あり。
風。大きな木は大きな木なりの音をたてる。小さな木は小さな木なりの音をたてる。柔らかい葉堅い葉それぞれ音を振り分けられて音降りしきる。

恒星に向かい、惑星に向かう木々。はっきりとした美しさ。
すでにして沖縄に蝉音賑わいに満ちて星座のような構成。慰霊塔は静か。





将棋のホンタイ






夜、寝る体勢で、暇になることはないか。

起きて本格的にもぞっとする気になれず、あっぷあっぷになることはないか。

そこに将棋をどうぞってことさ。

頭内部に将棋盤を立ち上がらせる。そしてひとり将棋に興じる。プロらの最新棋譜を並べて独自研究にぼっとうする。そうするとヘボなのになんか最強棋士の実感さえ味わえる。寝ながら、頭のなかだけで遊べるのである。

そんなに難しくない。数年修練すればすぐにこの技を使いこなすようになれる。

最年少棋士がどうたら騒がれているあいだにこの技を覚えるべきであると言う。

楽しさはないぶにあると言う。